大学院へ行こう 石井 優貴
私は昨年度で大学院を卒業しました。自身の経験を交えて大学院生活についてお伝えさせていただく機会を頂きました。進路に迷っている方の参考になればと思います。
まず初めに,私が大学院進学を選んだきっかけは,研修中にお世話になっていた先輩に相談した時に大学院を勧められたことです。研修医の頃の私は研究に全く興味がありませんでした。しかし,さまざまな論文を読み,自分の疑問を研究テーマにし,議論を重ねていく過程は,自分自身で考える力を育むことになるよとお話しいただき,少し興味を持つようになりました。これから1人の歯科医師として歩んでいく道には,学生時代のように授業で勉強範囲や内容を教えてくれる先生はいません。自分で疑問を持ち,自分で考え解決していく力は必ず役立つと考えるようになりました。そんなフワッとした感じでスタートした私の大学院生活は,まずは先輩の研究を手伝うことから始まりました。先輩のやっていることを見ながら,どういう流れで研究を進めていくのかを教えてもらいました。そして,自分の研究もスタートしました。研究テーマを決めて,計画を立てるところから始めたのですが,準備がとても大切になります。テーマに関連するような論文を読み,予備実験を行い,修正を加えます。そこで,先輩の先生方からもアドバイスをいただき,自分にはなかった視点で見つめ直します。実験データの収集では,精度を上げるために何度も練習を繰り返します。自分自身で考え,議論して,修正していく過程に学ぶことが多くあったなと思います。研究がまとまってくれば,学会発表もします。国内外の学会に参加して発表し,そこでも参加者の方から違った意見をもらうことができます。大変なことも多いですが,自分のやったことに対していろいろな意見をもらう機会は,大学院で研究をしていなければ経験できなかったなと思います。また,私は,大学院生活の中で10ヵ月間留学にもいかせていただきました。海外旅行も行ったことがなかった私には刺激的な日々でした。私の所属した大学には,色々な国の人が働きに来ていました。そこで出会った人達は,皆,積極的で,自分に必要なものを考え,どんどんチャレンジしていました。議論する際も,上司にも立場関係なく意見します。失敗を恐れず,飛び込むことの大切さを学びました。4年間で沢山のことを経験させていただき,大学院に行かなければできなかったことばかりだなと思いました。大学院を勧めてくれた先輩,支えてくださった医局の先輩方には感謝しかありません。
最後になりますが,大学院への進学を迷っている方へ。やっぱり研究って難しそう。自分には向いてない。敷居が高い。そんな風に思っていませんか?私自身も思っていましたし,ほとんどの人が入学前に思っていることだと思います。最初からなんでもできる人はいません。様々なことを経験することによって視野が広がるのでないかと思います。迷っているならチャレンジしましょう。今しかできない経験がそこにはあるはずです。