先端歯科生体材料・技法開発研究室


先端歯科生体材料の開発を目指して

医療材料は医療の進歩の一端を担っており,精力的に改良・開発がなされている。当研究は放電プラズマ燒結装置を用いて従来存在しなかった全く新しい材料の創造を目的としている。
歯科インプラント埋入体の骨格として純チタンを選択し,その表層を同心円上に生体組織と適合の良好なハイドロキシアパタイトで覆った傾斜機能材料の開発に取組んでいる。現在チタンとハイドロキシアパタイトとの傾斜機能材料を作製する基礎技術を確立しつつある。
CAD/CAM用基材には種々あるが,生体安全性の高いチタンの加工に期待がかけられている。チタンは鋳造や機械加工が困難でCAD/CAMでの加工にも切削性の悪いことに起因する加工精度が問題である。そこでチタンと銀の合金による快削性チタンを作製し,加工精度の向上を目指すとともにエナメルと同等の摩耗性を有する合金の創生を行う。

歯科インプラントの生体適合性の向上を目指して

歯科用チタンインプラントの表面改質法として薄膜形成法が現在注目を集めている。本研究では,ハイブリッド有機薄膜形成装置を用いて,物理的気相蒸着(PVD)法および化学的気相蒸着(CVD)法によりチタン表面に様々な薄膜を形成し,生体適合性に優れたチタンインプラントを開発することを目的とする。PVD法,CVD法は通常別々の装置で行われるが,本装置にはPVD法ユニットとCVD法ユニットとが装着されており,1台で2種類の薄膜形成が可能であるという特長を有している。PVD法を用いたチタンの表面改質に関しては多方面から検討されているが,CVD法に関してはほとんど検討がなされていない。シロキサン系化合物をラジカルソースとしてチタン上にCVD薄膜を形成したところ,タンパク質の吸着能が大幅に向上することを見出した。また,リン酸カルシウムをターゲットとしたPVD法によりチタン上にリン酸カルシウム薄膜が形成でき,薄膜の結晶化の違いにより溶解性を制御できる。チタン,酸化チタンなどもターゲットとして使用可能である。本装置によってCVD法やPVD法,またはCVD法やPVD法の併用によるチタンの表面改質が可能であり,生体適合性に優れた新規なチタンインプラントが開発できる。


歯科用CAD/CAM装置の実用化を目指して

CAD/CAMは複雑な鋳造操作をなくし,データ通信による作製を可能にするなど大きな特徴がある反面,製作物の適合精度に問題があると指摘されている。
歯科用CAD/CAM装置を用いて種々な条件で冠を作製し,適合精度の観点から支台歯の形態と材料の切削性や機械特性との関係について追求している。


無痛治療の実現化を目指して

歯科における無痛治療は患者の大きな望みであり,精神的のみならず過剰な麻酔を減少させることによって侵襲を軽減する面からも重要な課題である。
粉体噴射切削装置を用いて歯質に穴を穿つことが可能であるが,所用の深さや形態に調節することは困難な現状である。
そこで種々の条件で窩洞形成し,歯の硬組織の状態に対する削除量や形態を修復学的観点から検討し,削除量や方向の理論を構築するとともに,制御可能な新規な粉体材料の開発を目指している。

主な研究装置
設備 製造会社
ハイブリッド有機薄膜形成装置 VEO-1000 日本真空株式会社
島津レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD-7000
SALD-MS70
株式会社島津製作所
ペインレスジェットDタイプ Dタイプ
フリーアーム付
株式会社吉田製作所
DENTAL CAD/CAM GN-1システム GN-1 株式会社ジーシー
住石放電プラズマ焼結装置 “DR.SINTER LAB.TM”
SPS-511S
住友石炭鉱業株式会社

機器の詳細はこちらからご覧いただけます。

主な共同研究事業
学術フロンティア推進事業(平成13年度~平成17年度)
プロジェクトタイトルを「歯科先端材料・先進技法による口腔機能の再構築」とする研究が平成13年度よりスタートし,研究組織として次の5班が研究をスタートした。詳細については,平成13 年度選定学術フロンティア推進事業(学内通称[H13])のホームページをご参照ください。(研究班:「口腔組織再生医学研究班」,「新規代替埋入材料の開発と応用研究班」,「歯科先進材料・技術の開発と応用研究班」,「先進診断技術の開発と応用研究班」,「全身機能を基盤とする口腔環境の再構築研究班」)



先進01




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