ゲノム機能科学研究室

ヒトゲノム計画の塩基配列解読がほぼ終了したと報じられている。そして,ゲノム,トランスクリプトーム,プロテオームの情報を統合したバイオインフォーマテイクスの応用によって生命科学研究が飛躍的に進展するであろうといわれている。H13 学術フロンティアー推進事業によって,トランスクリプトーム研究の設備であるGeneChip, DNAマイクロアレイ解析システムと併せてプロテオーム研究の強力な武器であるレーザーイオン化飛行型質量分析装置が設置された。これで本格的なゲノム機能科学の研究に対する支援体制が実現したことになる。バイオインフォーマテイクス応用研究の推進には,さらにメタロボロームの充実が期待されるが,文部科学省の科学研究費補助で,分子相互作用の研究機器であるビアコアー解析装置が実現した。

GeneChip

オリゴヌクレオチドプローブの高密度超小型アレイを使用することにより,大量の遺伝子情報を解析できるアルゴリズムを備え,更に,遺伝子情報バンク(GenBank等)とのリンクが可能である。また,デスクトップコンピューターのハードディスク内にGATC準拠データベース作成機能を有し,データの統計解析,クラスター解析を行うことができること。現在,入手できるアレイ解析装置のなかでグローバルスタンダードといえる正確な遺伝子発現レベルの解析ができる。


DNAマイクロアレイ解析システム

GeneChipと同様に多数の遺伝子のcDNAを高密度にスポットすることができ,かつ大量の遺伝子発現情報を高速に同時解析できる。GeneChipは市販のチップのみが使用可能であるが,本装置は任意の遺伝子についてカスタムメイドのマイクロアレイの作成ができる。


レーザーイオン化飛行型質量分析装置

日本大学では初めてプロテオーム研究の強力な武器である本装置が設置された。ゲノム,トランスクリプトーム解析ができた遺伝子であっても,実際には翻訳後,プロセッシングされて種々の機能タンパクになることからで,プロテオーム研究なくしては生命科学研究は成り立たない。本装置は,未知タンパク質の酵素処理ペプチド断片の質量分析を多試料で行え,その生データをプロテインデータベースと照合することで,どのようなタンパク質であるかの同定に役立つ。


ビアコアー分子間相互作用解析装置

タンパク質分間の結合状態,あるいはタンパク質とリガンド,アゴニスト,アンタゴニストとの結合状態,とくにリガンドと受容体との結合状態,あるいは抗体と抗原との結合状態,等をキネティカルに解析することが可能である。また,リガンドに対するタンパク質を回収してプロテオーム研究に連動させることも可能である。
以上に紹介した機器は,互いに連動して始めて大きな成果が期待されることから,共同設備機器として口腔科学研究所ゲノム機能科学研究室に設置された。

主な研究装置
設備 製造会社
レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 AXIMA-CFR 株式会社島津製作所
Gene Chip遺伝子発現解析システム 米国AFFYMETRIX社
マイクロアレイスポッター&スキャン 英国アマシャムファルマシアバイオテク社

機器の詳細はこちらからご覧いただけます。

主な共同研究事業
学術フロンティア推進事業(平成13年度~平成17年度)
平成13年度よりスタートしているプロジェクト「歯科先端材料・先進技法による口腔機能の再構築」を中心に研究が行われた。研究内容等についての詳細は,(学内通称[H13])のホームページを参照ください。





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