歯はどうして痛くなる?:歯の痛みの原因
Q:歯の痛みはなぜ起こるのですか?
歯の痛みは,主にむし歯(う蝕)と歯周病によって起こりますが,それ以外の原因もあります。ここでは,まず歯の痛みとその様々な原因について説明し,次にその中でも最も原因として多いむし歯や歯周病の成り立ちと予防法について解説します。そして最後にその原因となるむし歯菌と歯周病の細菌についても解説していただきます。
歯の痛み,歯のまわりの痛みの原因
昔から歯の痛みに悩む人は多くいます。強烈なむし歯の痛みを一度でも経験したら,だれもがもう二度と経験したくないと考えるのはあたりまえでしょう。そして,そのむし歯の治療に行った歯科医院でまたひどく痛い治療を経験する人も多いようです。
それは,私たち歯科医師に面と向かって“私は歯医者がきらいです”とおっしゃる人が多いことからも容易に想像できます。
歯が痛むといって歯科医院に来院される方でも,歯が本当に原因の人もいれば,歯が原因でない場合もあります。
ここでは歯の痛み,歯のまわりの痛みに関して,歯が原因のものと歯が原因でないものに分けて,それぞれの原因や対処法を説明します。
歯科の診療において,一般的に取り扱う痛みは,ほとんどは歯が原因です。
この痛みを,発生している場所によって分類すると,象牙質(ぞうげしつ),歯髄(しずい),歯根膜(しこんまく),歯肉(しにく),歯槽粘膜(しそうねんまく)の痛みなどとなります(あとで詳しく解説します)。また原因というと,齲蝕(むし歯)および根尖性歯周炎(根の先の病気)によるもの,歯周疾患(辺縁性歯周炎:歯槽膿漏:歯のまわりの病気)によるもの,歯が割れたりあごの骨の骨折といった外傷によるところが主なものです。
以下に歯が原因の歯の痛み,歯のまわりの痛みとその原因を解説します。
図1.歯と歯周組織(下顎小臼歯部における前頭断面)※1
図2.エックス線画像において透過像を示す象牙質のむし歯
歯の硬組織(体の構造で硬い部分)において痛みを感じるところは,最表層にあるエナメル質(人体で最も硬い組織)の内側にある象牙質です。
象牙質は硬組織にもかかわらず,象牙細管という中空構造があり,そこから歯髄の神経が刺激され痛みが生じます。
象牙質の痛みは,外からの刺激によって生じる2-3秒以内の鋭い深い痛みです。外からの刺激とは,食事や飲料などによる熱刺激や,甘い,酸っぱいといった化学的刺激,あるいは物理的な圧迫による機械的刺激があります。熱いおでんを食べた後に冷たいビールを飲むといった急激な温度変化では,正常な歯ですら痛みを生じることがあります。
しかしほとんどの場合は,歯髄中の神経が知覚過敏(感覚が過敏になること)を起こしている状態の歯に,日常ではごく当たり前の刺激が加わることで痛みが発生することが問題となります。
この痛みは,はっきりと場所を示すのが難しく,問題のある歯の前後2-3本の範囲に感じます。痛む場所に関して,上下の歯を間違えることも珍しくありません。
象牙質の痛みは,知覚が過敏と思われる歯の周辺2-3本の歯に対して,1本ずつ冷刺激や熱刺激を加えていくことで再現され,問題のある歯が確定されます。
最も頻繁に認められる原因は象牙質の齲蝕ですが,これは見て確認し,さらに器具で触って痛みが誘発され,エックス線診査も含めて診断します(図2)。
痛みは,むし歯に対する詰め物の不適合や,歯が削れたり,エナメル質が溶けたり,また歯肉が下がって象牙質が口腔内への出てくることも原因となります。これらの場合,鋭い探針で疑わしい部位を触ることによって痛みの場所を明確にすることができます。
象牙質のむし歯によって痛みが出ている場合には,むし歯を除去し代わりのものを詰めることで治療します。
歯と歯肉の境界にある歯根(しこん:歯の根っこ)の象牙質が,歯肉が下がることによって露出し,生じる知覚過敏は,対処法が多種多様です。
まずは歯根面を清掃し汚れを付着させないこと,また酸性の食事や飲み物は控えるべきです。
さらに露出歯根面からの刺激の入力を防止するために歯根面を被覆することで対応します。
最近では知覚過敏用の歯磨き粉も効果的です。
歯が原因の歯の痛み,歯のまわりの痛みの中で,最も激烈かつ典型的なものは歯髄の痛みです。図3に示すように歯の中には歯髄があり,そこには多くの神経,血管が走行しています。ここに炎症性の痛みが生じる原因としては,むし歯が歯髄に達した場合(図4)や歯の破折(図5,6),があり,さらに咬合力(噛む力)や外傷が加わることにより硬い組織の欠損がないにもかかわらず痛みが生じることもあります。
歯髄の病気に伴う痛みは,ズキズキする大変強力な痛みです。そして温度変化や甘味食物,さらにむし歯部位への加圧によって増悪します。一旦痛みが増強されると数十分間は継続します。象牙質の痛みと同様に,患者さんが痛む場所を明確に示すのは困難です。痛みは耳,頭,頬などに広がります。この広がりは痛みの強度が増すと,さらにその傾向が強くなります。痛みの訴えは多様です。持続性の鈍い痛みは周期的に変化し,さらに自発的にあるいは外からの刺激が加わることで悪化します。患者さんは痛みによって目を覚ますことも稀ではありません。この歯髄の炎症に伴う痛みは,数週間や数ヶ月といった長期間継続するものではなく,数時間から数日間で自然と治まります。
診断にあたってはまず歯の特定を行い,その後,処置方針の決定のために歯髄の状態を評価します。歯の特定は,象牙質の痛みの項で述べたものと同様です。ただし,冷刺激あるいは熱刺激による診査は慎重に行わなければ,激烈な痛みが生じます。歯を軽く叩いてみることも歯の特定と炎症が歯髄全体に及んだかどうかの指標となります。歯髄の状態は単一の徴候だけからは診断が不可能であり,複数の診査結果から総合して判断しなければいけません。
治療は麻酔下にて歯髄を保存して沈静させるか,あるいは歯髄を除去します。除去した場合はその後の根の治療が必要となります。歯髄の痛みは,歯髄除去後直ちに消失します。
これには2通りの原因が考えられます。一つは歯髄の炎症から歯髄が死んでしまい,その後歯根(歯の根)の先端に炎症を引き起こすものです。もう一つは歯肉と歯周組織の感染により,歯周ポケットを形成し,歯の辺縁に炎症を引き起こすものです。痛みの特徴,局所および疼痛を生じる状況は類似していますが,治療方針はその原因から考えて全く異なるので,この両者は別々に説明します。
図7.エックス線画像上で上顎右側4番の根尖周囲に認める透過像。慢性の根尖性歯周炎と診断されます。急性化すると激烈な痛みが生じるが,慢性の状態では軽度の違和感か症状はありません。
急性の根尖性歯周炎による痛みは,中等度から強度であり,持続する痛みです。痛みは歯を咬み合わせると悪化し,より進行した場合,その歯に軽く接触しただけでも痛みが強くなります。これらの場合,その歯はかみ合う歯との接触に関して大変敏感になります。患者は根尖性歯周炎に先立って,激烈かつ耐え難い歯髄炎の痛みを経験することがあります。そしてその後は軽度な持続的な痛みへと移行します。根の先からの痛みの場所は,通常,問題のある歯を正確に示すことができます。この点では,象牙質や歯髄の疼痛とは異なります。根尖性歯周炎の約半数近くにおいて,痛みはあごの骨に広がります。
問題のある歯は,軽く叩くことによって容易に判定できます。さらにその歯の根の先あたりの粘膜は,押すと痛みがあります。通常,歯髄(歯の内部の組織)は活きておらず,温度変化や電気による診査に反応しません。しかしながら,歯の内部の炎症と急性の根の先の炎症を明確に区別することは困難であり,さらにそれらの痛みは同時に生じることが多くあります。より重篤な化膿性(かのうせい)の状況になると,顔面の腫脹を伴い,さらに発熱や悪寒を生じることもあります。通常腫脹(はれ)が生じた場合,炎症に伴う膿みは骨から軟かい組織へと移行することで圧が減じ,それに伴い痛みも減少します。
根尖性歯周炎の初期においては,炎症が根尖周囲に波及して間もないため,まだエックス線所見上で明確に診断することは困難です。もし,エックス線上で根尖周囲に透過像が認められたならば,慢性の根尖性歯周炎と診断するべきです。多くの場合,エックス線画像上での根尖周囲の透過像は,症状がなくても認めます(図7)。エックス線所見は痛みを表すものではなく,さらに痛みは根尖周囲の病変の状態や感染の有無とも相関しません。
痛みが根尖性歯周炎からきている場合,その感染の原因は通常歯髄のはいっていた場所(根管:こんかん)からきています。治療の初期の目的は,感染の原因を除去することです。歯髄のはいっていた空洞を開放し,清掃します。反対側との歯のかみあわせを削除することは,痛みを和らげることに効果的です。もし,腫脹(ハレ),発熱,悪寒があるなら,抗菌剤の投与が効果的です。根尖周囲に膿の袋ができ,内圧が高まって痛みが生じている場合,切開して膿を出すことは大変有効です。痛みは通常1-2日で軽減されます。
辺縁性歯周炎の痛みは急性の根尖性歯周炎の痛みと大変類似しています。痛みは持続的であり,中等度から重度でその歯の咬合接触で痛みは強くなります。目に見える歯肉の腫脹と発赤で特徴づけられ,根尖性歯周炎に比較して歯肉よりにあります(図8)。
その歯は打診に敏感で,動揺している場合もあります。より重篤な場合,炎症性の腫脹,発熱,悪寒を伴うこともあります。深い歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が通常歯の周りに存在し,歯周ポケットの診査が必要です。歯周ポケットからの排膿があれば,痛みは軽減します。歯髄は通常,生きており温度変化や電気刺激に正常な反応を示しますが,場合によっては知覚過敏を起こすこともあり,また辺縁から逆行性に歯髄炎を引き起こすこともあります。膿みの袋の増大は通常歯周ポケットからの排膿が抑止されることにより起こり,深い骨の下まで至るポケットは,歯根の又の部分の病変の存在と関連しています(図9)。
治療は洗浄,消毒と歯周ポケットの掻爬が行われます。かみあわせの調整で反対側の歯との接触を除去します。もし,腫脹,発熱,悪寒があるなら,抗菌剤の投与が効果的です。歯周ポケットからの膿みの出口が確保されないならば,切開による排膿が推奨されます。痛みは治療後24時間以内には治まります。
食事の後に歯と歯の間に痛みを訴え,特に繊維質のものを食べた後に起きる痛みです。痛みは圧迫感を伴い,大変な不快感があります。この痛みは次の食事の際に生じる再度の痛みの発生までに徐々に軽減します。ただし歯科医師が歯間部の食片をとり除けばただちに消失します。診査では食片圧入を起こす歯と歯の間の接触関係を調べます。歯と歯の間の歯肉は過敏になっており容易に出血します。食片圧入部位に隣接した歯は,通常軽く叩いても痛みがあります。隣り合った歯の接触関係は,むし歯によって問題が生じることが多いですが,治療によって歯と歯の間の接触関係を改善することで消失します。
下の顎の最後方に強烈な痛みを生じます。自発的で,口を閉じることによって痛みは悪化することが多いです。より重篤な場合,飲み込みによって痛みが強くなることや,口が開かなくなることもあります。急性の智歯周囲炎は,通常親知らずを覆う歯肉の状態不良が原因となります(図10)。
歯肉は急性の炎症を呈し赤くなり,腫れています。また反対側の歯が腫れた歯肉に食い込むこともあります。発熱と悪寒がある場合は,感染が生じていると考えられます。
治療は,原因の歯と歯肉の間を洗浄,消毒し,かみあわせによる外傷を除去します。発熱と悪寒や口が開かない場合には,抗菌剤の投与が必要です。対処療法による急性の炎症が消退した後,親知らずを抜歯することで完全に痛みは消失します。
部分的な痛みは機械的,化学的外傷や熱傷,ウイルスの感染等によって生じます。痛みは通常軽度から中等度ですが,刺激的な食事の際には重度の痛みを訴えることもあります。
多くの場合,この痛みは数分で緩解します。ここでは最も頻度の高いアフタ性口内炎について概説します。アフタ性口内炎は自己免疫によるといわれ,ストレスによって悪化します。潰瘍形成までの2-48時間前には灼熱感があります。病変は0.3-1.0 cmと小さいですが,強く痛みます。軽いものでは10日以内に治癒し,痛みの強度も中等度くらいまでです。より重篤な場合,深い複数の潰瘍が形成され,極めて痛みが強く,発音や食事に困難が伴います。この場合1ヶ月ほど治癒に要することもあります。治療は,対処療法であり,潰瘍を機械的に覆う貼付物を使用するか,あるいはステロイド軟膏やテトラサイクリン軟膏を塗布します。
口腔粘膜に全体的な疼痛が起きる時は,通常灼熱感であり,味覚障害や金属味を伴います。この痛みは,細菌や真菌の感染から起こるものが多いです。診断は,細菌検査によって行われます。その一種であるカンジダ性口内炎は,長期に渡る抗真菌剤の投与や免疫能の異常を原因として疑います。頭頚部への放射線療法は,口腔内全体の急性の粘膜炎を生じることがあります。また唾液分泌の減少は口腔粘膜の慢性痛や不快感を生じます。
口腔粘膜の灼熱感,特に舌の灼熱感は,貧血のような全身疾患によって生じます。これらは通常,舌の表面の形の変化を伴います。しかしながら,口腔内や舌に灼熱感を訴える50-70才の女性において,口腔内に原因となる変化を認めないことがあり,これらは舌痛症を呼ばれ,神経学的,あるいは心身医学的対処が必要となる場合があります。
歯の痛みに関して,これまでの歯科的な対応では解決できず,原因不明のまま長期間の治療経過をたどっている症例が存在することが報告されています(※2)。当病院の口・顔・頭の痛み外来にも,歯が痛くて来院したが,原因が口腔内に見いだせない症例を多く認めています。以下に歯が原因でないにもかかわらず,歯の痛みを訴える病気を解説します。歯が原因でない歯の痛みは,歯自体が痛いものもあれば歯肉や歯のまわりの組織が痛いと訴える場合もあります。どちらにせよ原因は歯以外にあり治療の対象も歯ではありません。歯科医においても,この非歯原性歯痛はまだあまり認知されておらず,多くの場合において,歯に原因がないにもかかわらず歯の治療を行うこともあれば,歯を抜いてしまう場合もまれではありません。
特に咬筋(こうきん:下あごのエラのところから頬骨にかけての筋)が原因の,下の奥歯の痛みと,側頭筋(そくとうきん:こめかみから頭の横の部分にかけての筋)が原因の,上の奥歯への痛みが高頻度に認められます(図12)。痛みは持続的であり,筋の圧迫することでで,歯の痛みを再現します。さらにすなわち痛いと感じている歯への麻酔で痛みがとれないにもかかわらず,筋への麻酔によって歯の痛みが減弱されることで確定されます。治療は,咀嚼筋の筋・筋膜痛の治療に沿って行われますが,筋を温めたり,マッサージしたりします。薬を使うこともあります。
繰り返し発作が起きる神経痛の一つである三叉神経痛は,歯を触ることで発作が起きたり,あるいは発作の痛みが歯に広がったりする場合があります。いずれの場合でも,突発的で,鋭く,自発性の痛みとして特徴づけられる発作的な神経痛の痛みです。しばしば歯への麻酔によって発作が消えたりすることから,歯の病気と間違えるることがあり注意が必要です。痛みが激烈なだけに訴えも強く,歯科医師は何らかの対処法として,歯の神経をとったり,歯を抜いたりすることもあります。
帯状疱疹は,感染した神経の分布域に正確に沿って重度の痛みが発現する,ウイルスが原因の急性の神経の炎症です。歯や口のまわりの神経での発生は割と頻度が高く,その中でも眼のまわりの神経に最も多く発生します。顔の真ん中や下のあたりの神経にも起きます。この場合,顔の真ん中の場合は上あごの歯に,また顔の下の場合は下あごの歯に,歯髄炎と類似した症状を生じることがあります。診断を確定するための水泡形成までに数日かかることから,最も初期には歯の痛みだけが生じることも稀ではありません。何ら徴候が見当たらないにもかかわらず歯に激痛が生じた場合,口腔内の水泡形成の有無を診査する必要があります。
神経障害性の歯の痛みのうち持続的なものは外傷,歯の神経をとること,簡単な抜歯や外科手術後の損傷に伴って生じることがあります。この時,歯がないのに歯の痛みを訴える場合があり,この病態を一般的に非定型歯痛と呼んでいます。痛みは持続性ですが,その原因となる所見はなく,局所刺激に対する反応や神経ブロックの効果もはっきりしません。三環系抗うつ薬投与が有効とされています。しかしながら非定型歯痛は,きれいな歯においても生じることがあり,まだ原因や病態ははっきりしていません(※4)(図13)。
以上ここまで,歯の痛み,歯のまわりの痛みに関して,歯が原因のものと歯が原因でないものに大別し,それぞれの原因や対処法をお話しました。まだまだ歯の痛みや歯のまわりの痛みを生じる病気は多くあります。痛みの原因がよくわからない時は,口・顔・頭の痛み外来にご相談ください。
それは,私たち歯科医師に面と向かって“私は歯医者がきらいです”とおっしゃる人が多いことからも容易に想像できます。
歯が痛むといって歯科医院に来院される方でも,歯が本当に原因の人もいれば,歯が原因でない場合もあります。
ここでは歯の痛み,歯のまわりの痛みに関して,歯が原因のものと歯が原因でないものに分けて,それぞれの原因や対処法を説明します。
1:歯が原因の歯の痛み,歯のまわりの痛み
歯科の診療において,一般的に取り扱う痛みは,ほとんどは歯が原因です。
この痛みを,発生している場所によって分類すると,象牙質(ぞうげしつ),歯髄(しずい),歯根膜(しこんまく),歯肉(しにく),歯槽粘膜(しそうねんまく)の痛みなどとなります(あとで詳しく解説します)。また原因というと,齲蝕(むし歯)および根尖性歯周炎(根の先の病気)によるもの,歯周疾患(辺縁性歯周炎:歯槽膿漏:歯のまわりの病気)によるもの,歯が割れたりあごの骨の骨折といった外傷によるところが主なものです。
以下に歯が原因の歯の痛み,歯のまわりの痛みとその原因を解説します。
1)歯の痛み
図1.歯と歯周組織(下顎小臼歯部における前頭断面)※1
図2.エックス線画像において透過像を示す象牙質のむし歯
①象牙質(ぞうげしつ)の痛み
歯の硬組織(体の構造で硬い部分)において痛みを感じるところは,最表層にあるエナメル質(人体で最も硬い組織)の内側にある象牙質です。
象牙質は硬組織にもかかわらず,象牙細管という中空構造があり,そこから歯髄の神経が刺激され痛みが生じます。
象牙質の痛みは,外からの刺激によって生じる2-3秒以内の鋭い深い痛みです。外からの刺激とは,食事や飲料などによる熱刺激や,甘い,酸っぱいといった化学的刺激,あるいは物理的な圧迫による機械的刺激があります。熱いおでんを食べた後に冷たいビールを飲むといった急激な温度変化では,正常な歯ですら痛みを生じることがあります。
しかしほとんどの場合は,歯髄中の神経が知覚過敏(感覚が過敏になること)を起こしている状態の歯に,日常ではごく当たり前の刺激が加わることで痛みが発生することが問題となります。
この痛みは,はっきりと場所を示すのが難しく,問題のある歯の前後2-3本の範囲に感じます。痛む場所に関して,上下の歯を間違えることも珍しくありません。
象牙質の痛みは,知覚が過敏と思われる歯の周辺2-3本の歯に対して,1本ずつ冷刺激や熱刺激を加えていくことで再現され,問題のある歯が確定されます。
最も頻繁に認められる原因は象牙質の齲蝕ですが,これは見て確認し,さらに器具で触って痛みが誘発され,エックス線診査も含めて診断します(図2)。
痛みは,むし歯に対する詰め物の不適合や,歯が削れたり,エナメル質が溶けたり,また歯肉が下がって象牙質が口腔内への出てくることも原因となります。これらの場合,鋭い探針で疑わしい部位を触ることによって痛みの場所を明確にすることができます。
象牙質のむし歯によって痛みが出ている場合には,むし歯を除去し代わりのものを詰めることで治療します。
歯と歯肉の境界にある歯根(しこん:歯の根っこ)の象牙質が,歯肉が下がることによって露出し,生じる知覚過敏は,対処法が多種多様です。
まずは歯根面を清掃し汚れを付着させないこと,また酸性の食事や飲み物は控えるべきです。
さらに露出歯根面からの刺激の入力を防止するために歯根面を被覆することで対応します。
最近では知覚過敏用の歯磨き粉も効果的です。
②歯髄(しずい)の痛み
歯が原因の歯の痛み,歯のまわりの痛みの中で,最も激烈かつ典型的なものは歯髄の痛みです。図3に示すように歯の中には歯髄があり,そこには多くの神経,血管が走行しています。ここに炎症性の痛みが生じる原因としては,むし歯が歯髄に達した場合(図4)や歯の破折(図5,6),があり,さらに咬合力(噛む力)や外傷が加わることにより硬い組織の欠損がないにもかかわらず痛みが生じることもあります。
図3.むし歯からの探針による歯髄への穿通
図4.歯髄に達するむし歯のエックス線画像
図5.前歯の破折を示すエックス線画像
図6.奥歯の破折。
歯髄の病気に伴う痛みは,ズキズキする大変強力な痛みです。そして温度変化や甘味食物,さらにむし歯部位への加圧によって増悪します。一旦痛みが増強されると数十分間は継続します。象牙質の痛みと同様に,患者さんが痛む場所を明確に示すのは困難です。痛みは耳,頭,頬などに広がります。この広がりは痛みの強度が増すと,さらにその傾向が強くなります。痛みの訴えは多様です。持続性の鈍い痛みは周期的に変化し,さらに自発的にあるいは外からの刺激が加わることで悪化します。患者さんは痛みによって目を覚ますことも稀ではありません。この歯髄の炎症に伴う痛みは,数週間や数ヶ月といった長期間継続するものではなく,数時間から数日間で自然と治まります。
診断にあたってはまず歯の特定を行い,その後,処置方針の決定のために歯髄の状態を評価します。歯の特定は,象牙質の痛みの項で述べたものと同様です。ただし,冷刺激あるいは熱刺激による診査は慎重に行わなければ,激烈な痛みが生じます。歯を軽く叩いてみることも歯の特定と炎症が歯髄全体に及んだかどうかの指標となります。歯髄の状態は単一の徴候だけからは診断が不可能であり,複数の診査結果から総合して判断しなければいけません。
治療は麻酔下にて歯髄を保存して沈静させるか,あるいは歯髄を除去します。除去した場合はその後の根の治療が必要となります。歯髄の痛みは,歯髄除去後直ちに消失します。
2)歯のまわり(歯周組織)の痛み
歯のまわりからの痛みは比較的容易にその場所を明らかにできます。問題のある歯は軽く叩いたり,圧迫したりすることで痛みを生じます。歯のまわりの痛みは通常,細菌の感染による歯肉,歯根膜,歯槽骨(しそうこつ)の急な炎症の過程で生じます。これには2通りの原因が考えられます。一つは歯髄の炎症から歯髄が死んでしまい,その後歯根(歯の根)の先端に炎症を引き起こすものです。もう一つは歯肉と歯周組織の感染により,歯周ポケットを形成し,歯の辺縁に炎症を引き起こすものです。痛みの特徴,局所および疼痛を生じる状況は類似していますが,治療方針はその原因から考えて全く異なるので,この両者は別々に説明します。
根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん:根の先の炎症)の痛み
図7.エックス線画像上で上顎右側4番の根尖周囲に認める透過像。慢性の根尖性歯周炎と診断されます。急性化すると激烈な痛みが生じるが,慢性の状態では軽度の違和感か症状はありません。
問題のある歯は,軽く叩くことによって容易に判定できます。さらにその歯の根の先あたりの粘膜は,押すと痛みがあります。通常,歯髄(歯の内部の組織)は活きておらず,温度変化や電気による診査に反応しません。しかしながら,歯の内部の炎症と急性の根の先の炎症を明確に区別することは困難であり,さらにそれらの痛みは同時に生じることが多くあります。より重篤な化膿性(かのうせい)の状況になると,顔面の腫脹を伴い,さらに発熱や悪寒を生じることもあります。通常腫脹(はれ)が生じた場合,炎症に伴う膿みは骨から軟かい組織へと移行することで圧が減じ,それに伴い痛みも減少します。
根尖性歯周炎の初期においては,炎症が根尖周囲に波及して間もないため,まだエックス線所見上で明確に診断することは困難です。もし,エックス線上で根尖周囲に透過像が認められたならば,慢性の根尖性歯周炎と診断するべきです。多くの場合,エックス線画像上での根尖周囲の透過像は,症状がなくても認めます(図7)。エックス線所見は痛みを表すものではなく,さらに痛みは根尖周囲の病変の状態や感染の有無とも相関しません。
痛みが根尖性歯周炎からきている場合,その感染の原因は通常歯髄のはいっていた場所(根管:こんかん)からきています。治療の初期の目的は,感染の原因を除去することです。歯髄のはいっていた空洞を開放し,清掃します。反対側との歯のかみあわせを削除することは,痛みを和らげることに効果的です。もし,腫脹(ハレ),発熱,悪寒があるなら,抗菌剤の投与が効果的です。根尖周囲に膿の袋ができ,内圧が高まって痛みが生じている場合,切開して膿を出すことは大変有効です。痛みは通常1-2日で軽減されます。
辺縁性歯周炎(へんえんせいししゅうえん:歯の周囲の炎症)の痛み
辺縁性歯周炎の痛みは急性の根尖性歯周炎の痛みと大変類似しています。痛みは持続的であり,中等度から重度でその歯の咬合接触で痛みは強くなります。目に見える歯肉の腫脹と発赤で特徴づけられ,根尖性歯周炎に比較して歯肉よりにあります(図8)。
その歯は打診に敏感で,動揺している場合もあります。より重篤な場合,炎症性の腫脹,発熱,悪寒を伴うこともあります。深い歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が通常歯の周りに存在し,歯周ポケットの診査が必要です。歯周ポケットからの排膿があれば,痛みは軽減します。歯髄は通常,生きており温度変化や電気刺激に正常な反応を示しますが,場合によっては知覚過敏を起こすこともあり,また辺縁から逆行性に歯髄炎を引き起こすこともあります。膿みの袋の増大は通常歯周ポケットからの排膿が抑止されることにより起こり,深い骨の下まで至るポケットは,歯根の又の部分の病変の存在と関連しています(図9)。
治療は洗浄,消毒と歯周ポケットの掻爬が行われます。かみあわせの調整で反対側の歯との接触を除去します。もし,腫脹,発熱,悪寒があるなら,抗菌剤の投与が効果的です。歯周ポケットからの膿みの出口が確保されないならば,切開による排膿が推奨されます。痛みは治療後24時間以内には治まります。
図8.重度の歯周疾患罹患歯
図9.上の奥歯において根の又の部分まで
進行した歯周疾患のエックス線画像
進行した歯周疾患のエックス線画像
3)歯肉の痛み
辺縁性歯周炎によるものを除くと,歯肉の痛みは異常な機械的刺激により歯周ポケットに生じる急性の炎症によって生じます。①食片圧入(しょくへんあつにゅう)
食事の後に歯と歯の間に痛みを訴え,特に繊維質のものを食べた後に起きる痛みです。痛みは圧迫感を伴い,大変な不快感があります。この痛みは次の食事の際に生じる再度の痛みの発生までに徐々に軽減します。ただし歯科医師が歯間部の食片をとり除けばただちに消失します。診査では食片圧入を起こす歯と歯の間の接触関係を調べます。歯と歯の間の歯肉は過敏になっており容易に出血します。食片圧入部位に隣接した歯は,通常軽く叩いても痛みがあります。隣り合った歯の接触関係は,むし歯によって問題が生じることが多いですが,治療によって歯と歯の間の接触関係を改善することで消失します。
②智歯周囲炎(ちししゅういえん:親知らずの歯の炎症)
図10.親知らずの傾斜によって生じた智歯周囲炎のエックス線画像。むし歯を併発している。
歯肉は急性の炎症を呈し赤くなり,腫れています。また反対側の歯が腫れた歯肉に食い込むこともあります。発熱と悪寒がある場合は,感染が生じていると考えられます。
治療は,原因の歯と歯肉の間を洗浄,消毒し,かみあわせによる外傷を除去します。発熱と悪寒や口が開かない場合には,抗菌剤の投与が必要です。対処療法による急性の炎症が消退した後,親知らずを抜歯することで完全に痛みは消失します。
4)歯槽粘膜(しそうねんまく)の痛み
歯槽粘膜における痛みは,通常,びらんや潰瘍(かいよう)を生じる疾患に関連しています。一方,口腔内全般に生じる痛みは,広範囲な感染によるものや,全身疾患にともなうものが多くあります。部分的な痛みは機械的,化学的外傷や熱傷,ウイルスの感染等によって生じます。痛みは通常軽度から中等度ですが,刺激的な食事の際には重度の痛みを訴えることもあります。
多くの場合,この痛みは数分で緩解します。ここでは最も頻度の高いアフタ性口内炎について概説します。アフタ性口内炎は自己免疫によるといわれ,ストレスによって悪化します。潰瘍形成までの2-48時間前には灼熱感があります。病変は0.3-1.0 cmと小さいですが,強く痛みます。軽いものでは10日以内に治癒し,痛みの強度も中等度くらいまでです。より重篤な場合,深い複数の潰瘍が形成され,極めて痛みが強く,発音や食事に困難が伴います。この場合1ヶ月ほど治癒に要することもあります。治療は,対処療法であり,潰瘍を機械的に覆う貼付物を使用するか,あるいはステロイド軟膏やテトラサイクリン軟膏を塗布します。
口腔粘膜に全体的な疼痛が起きる時は,通常灼熱感であり,味覚障害や金属味を伴います。この痛みは,細菌や真菌の感染から起こるものが多いです。診断は,細菌検査によって行われます。その一種であるカンジダ性口内炎は,長期に渡る抗真菌剤の投与や免疫能の異常を原因として疑います。頭頚部への放射線療法は,口腔内全体の急性の粘膜炎を生じることがあります。また唾液分泌の減少は口腔粘膜の慢性痛や不快感を生じます。
口腔粘膜の灼熱感,特に舌の灼熱感は,貧血のような全身疾患によって生じます。これらは通常,舌の表面の形の変化を伴います。しかしながら,口腔内や舌に灼熱感を訴える50-70才の女性において,口腔内に原因となる変化を認めないことがあり,これらは舌痛症を呼ばれ,神経学的,あるいは心身医学的対処が必要となる場合があります。
2:非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう:歯が原因でない歯の痛み)
歯の痛みに関して,これまでの歯科的な対応では解決できず,原因不明のまま長期間の治療経過をたどっている症例が存在することが報告されています(※2)。当病院の口・顔・頭の痛み外来にも,歯が痛くて来院したが,原因が口腔内に見いだせない症例を多く認めています。以下に歯が原因でないにもかかわらず,歯の痛みを訴える病気を解説します。歯が原因でない歯の痛みは,歯自体が痛いものもあれば歯肉や歯のまわりの組織が痛いと訴える場合もあります。どちらにせよ原因は歯以外にあり治療の対象も歯ではありません。歯科医においても,この非歯原性歯痛はまだあまり認知されておらず,多くの場合において,歯に原因がないにもかかわらず歯の治療を行うこともあれば,歯を抜いてしまう場合もまれではありません。
1)咀嚼筋(そしゃくきん)の痛みによる歯痛
頭や首に起きるすべての深い場所の痛みは,歯の痛みとして感じてしまう可能性がありますが,そのなかでも,咬むための筋からの痛みの場合が最も多くあります(図11)。特に咬筋(こうきん:下あごのエラのところから頬骨にかけての筋)が原因の,下の奥歯の痛みと,側頭筋(そくとうきん:こめかみから頭の横の部分にかけての筋)が原因の,上の奥歯への痛みが高頻度に認められます(図12)。痛みは持続的であり,筋の圧迫することでで,歯の痛みを再現します。さらにすなわち痛いと感じている歯への麻酔で痛みがとれないにもかかわらず,筋への麻酔によって歯の痛みが減弱されることで確定されます。治療は,咀嚼筋の筋・筋膜痛の治療に沿って行われますが,筋を温めたり,マッサージしたりします。薬を使うこともあります。
図11.咀嚼筋が原因で,歯が痛くなると感じることを説明する図。
咬筋から下の奥歯(左図),側頭筋から上の奥歯への痛み(右図)は臨床上よく経験する。※3
咬筋から下の奥歯(左図),側頭筋から上の奥歯への痛み(右図)は臨床上よく経験する。※3
図12.側頭筋が原因で,上の奥歯の痛みを示した例。
筋を圧迫すると,歯の痛みが再現されました。筋に対する治療が,歯の痛みも消失させました。
筋を圧迫すると,歯の痛みが再現されました。筋に対する治療が,歯の痛みも消失させました。
2)神経障害性(しんけいしょうがいせい)の歯痛
①三叉神経痛(さんさしんけいつう)による歯痛
繰り返し発作が起きる神経痛の一つである三叉神経痛は,歯を触ることで発作が起きたり,あるいは発作の痛みが歯に広がったりする場合があります。いずれの場合でも,突発的で,鋭く,自発性の痛みとして特徴づけられる発作的な神経痛の痛みです。しばしば歯への麻酔によって発作が消えたりすることから,歯の病気と間違えるることがあり注意が必要です。痛みが激烈なだけに訴えも強く,歯科医師は何らかの対処法として,歯の神経をとったり,歯を抜いたりすることもあります。
②帯状疱疹(たいじょうほうしん)による歯痛
帯状疱疹は,感染した神経の分布域に正確に沿って重度の痛みが発現する,ウイルスが原因の急性の神経の炎症です。歯や口のまわりの神経での発生は割と頻度が高く,その中でも眼のまわりの神経に最も多く発生します。顔の真ん中や下のあたりの神経にも起きます。この場合,顔の真ん中の場合は上あごの歯に,また顔の下の場合は下あごの歯に,歯髄炎と類似した症状を生じることがあります。診断を確定するための水泡形成までに数日かかることから,最も初期には歯の痛みだけが生じることも稀ではありません。何ら徴候が見当たらないにもかかわらず歯に激痛が生じた場合,口腔内の水泡形成の有無を診査する必要があります。
③非定型性歯痛(ひていけいしつう)
図13.患者は顔面に生じた原因不明の痛みに悩み,上顎のほとんどの歯の抜去を歯科医師にお願いし,抜歯されたが,痛みは消失しませんでした。10年近く悩まされた痛みは,当院において非定型歯痛の診断のもとに三環系抗うつ薬の投与により,約3ヶ月で消失しました。
3)神経血管性の歯痛
片頭痛(へんずつう)は歯の痛みとして感じられる痛みを引き起こすことがあります。あるいは群発頭痛(ぐんぱつずつう)でも歯の痛みの特徴をもつ痛みを生じることがあるります。痛みはずきずきして変化しやすく,歯髄の痛みと類似しています。痛みの発作は一定期間,一過性に生じます。痛みは上の犬歯や奥歯あたりにおきることが多いです。4)心因性による歯痛
心因性の歯痛として,まず知っておかなければいけないのは,身体表現性障害の中の疼痛性障害による歯痛です。そして心因性の歯痛としてもう一つ遭遇するのはうつ病による歯痛です。ともに全く身体的徴候がないにも関わらず,身体的状態について訴えるという精神疾患に区分されるものです。身体表現性疼痛障害にしてもうつ病にしても,精神疾患であり,精神科医によって最善の治療が必要となります。以上ここまで,歯の痛み,歯のまわりの痛みに関して,歯が原因のものと歯が原因でないものに大別し,それぞれの原因や対処法をお話しました。まだまだ歯の痛みや歯のまわりの痛みを生じる病気は多くあります。痛みの原因がよくわからない時は,口・顔・頭の痛み外来にご相談ください。
参考文献
※1:藤田恒太郎原著「歯の解剖学 第21版」 金原出版 1984 p5
※2:Okeson JP「Bell’s Orofacial Pain 5th edition」Chicago Quintessence Publishing, Co. 1995
※3:Travell JG, Simons DG 著「Myofascial Pain and Dysfunction – The Trigger Point Manual-」Baltimore Williams & Wilkins 1983より改変
※4:井川 雅子,今井 昇,山田 和男「OFPを知る」クインテッセンス出版 2005
※1:藤田恒太郎原著「歯の解剖学 第21版」 金原出版 1984 p5
※2:Okeson JP「Bell’s Orofacial Pain 5th edition」Chicago Quintessence Publishing, Co. 1995
※3:Travell JG, Simons DG 著「Myofascial Pain and Dysfunction – The Trigger Point Manual-」Baltimore Williams & Wilkins 1983より改変
※4:井川 雅子,今井 昇,山田 和男「OFPを知る」クインテッセンス出版 2005