研究・図書情報

松戸歯学部の研究

松戸歯学部では、歯科医学を「オーラルサイエンス(口腔科学)」と捉え、口腔における全身疾患との関わりあいを明らかにし、口腔と全身の健康維持・増進に寄与するため、さまざまな基礎・臨床研究を行っています。また、千葉県で唯一の先端的な歯科学研究に取り組む「口腔科学研究所」が設置されており、動物実験センターをはじめ多くの研究施設があります。

Q. 具体的にどんな研究が行われているのですか?

A.たとえば以下のような研究テーマがあります。

1. スポーツマウスガードの新たな役割を探る(鈴木浩司准教授)
スポーツマウスガード(MG)はラグビーやボクシングのような身体接触の多い競技において、顎や歯を外力から守り、また脳震とうを軽減させるために使用されます。また、私達は付属病院のスポーツ歯科外来にてスキーやソフトボールなど身体接触が少ない競技の選手達にもMGを沢山作ります。それはMGには顎を安定させる効果があるからです。しかしながらこの顎を安定させるメカニズム自体についてはあまりわかっていません。そこで私達は、「MGには外傷予防や脳震とう軽減以外にも顎を安定させる役割がある」と仮説を立て、それを解明する目的で選手の顎や首の筋肉の活動状況、歯のかみ合わせ等を計測し、そのデータを解析するという研究をしています。
キーワード:スポーツ歯学、マウスガード、顎の安定
2. 口腔の健康と全身の健康の疫学調査(有川量崇教授)
疫学調査とは、集団を対象として、病気の原因と考えられる要因と病気の発生の関連性について、統計的に調査することです。私達はこの疫学調査をもとに、口腔の健康が、健康寿命にどのくらい関連しているかを追求しています。例えば、80歳の約600名の健康診査(口の健康、全身の健康、食事内容)を実施し、それから20年間追跡調査(100歳の長寿の方の訪問調査もしました)をし、どのような人が長生きしているかということを調べました。その結果、長生きには満遍なく食べられることが大事だということが分かりました。その他にも、高齢者施設にいる高齢者70名を「ガムを咀嚼するグループ」と「ガムを咀嚼しないグループ」の2グループに分け、2か月後の口腔機能や介護環境を調べて、比較するという研究をしました。その結果、ガム咀嚼グループは口腔機能が向上し、食欲が増し、介護者との意思の疎通もアップしました。口腔機能の向上によって介護負担度が減るかもしれないことが示されました。現在も、いろんなフィールドで、多くの職種と一緒に調査をして、分析しています。
キーワード:健康寿命、疫学調査、100歳健診
3. 障害者の食事支援における円滑な医療機関と教育機関の連携(医教連携)に向けたシステム開発(遠藤眞美専任講師)
食事は、栄養摂取と共に食べる機能の向上やコミュニケーションをはかる豊かな心と体を育む行為です。食べる機能は哺乳期からの継続した学習成果です。学校給食は全国の90%以上で提供され、居住地に関係なく食べる機能を学べる時間といえます。特に障害や病気によって機能的に食べることが難しい場合、給食を通した安全な学習は重要です。その際、医学的支援が必要ですが、地域によっては相談可能な医療者が存在しません。そこで、日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座では学校給食に関して医療職と教育職による医教連携の実現に貢献できるようにWebページを作成し、学校給食に関する疫学調査の実施、食べる機能に関する基礎的な研究結果に基づいた正しい情報や指導マニュアル、共通理解を目的としたeラーニングなどを掲載し、地域格差なく効果的な医教連携の構築と強化の実現に向けたシステム開発の研究を行っています。2020年の新型コロナウイルス感染症第一波蔓延の際は、WEBページを通してアンケート作成し、リアルタイムで困っていることを把握し、感染症対応マニュアルを作成し,各学校で活用されています。
キーワード:障害者歯科学、摂食嚥下リハビリテーション、医教連携

など

なお、本HP内の「講座案内」において講座ごとの研究テーマが記載されています。



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